fc2ブログ

歩くと腰が痛くなる患者さん


 1年ほど前からの腰痛で、レントゲン検査で骨に異常が認められず、その後ずっと電気治療とマッサージを受けていたのですが、良くならないと知人の紹介で当院を受診されました。

 ゴルフボールを拾うために屈むのもつらい。

 朝の腰の痛みがつらい。

 歩き出すと5分ほどで腰が痛み出す。少し立ち止まると楽になる。

 これが最初に伺った主な症状です。

 

 この症状からすると脊柱管狭窄症などが疑えるのですが、さまざまな検査の結果、右仙腸関節障害と判断し、当初はここを原因疾患として治療を進めることにしました。

 しかし治療による反応は期待したほどではなく、本人のコメントも「少しはいいのかなあ」といまひとつです。

 

 治療開始から4回目、ご本人から「靴下が履けない」という話が出てきました。実際にその動作をしてもらうと、確かに足が持ち上がりません。腰かけた状態で、右足を上にして足が組めないのです。これは股関節の屈曲と外旋という動作に制限があることを示しています。

 

 外旋動作を制限する因子は内旋筋群で、その代表は小殿筋になります。この小殿筋は股関節の一番奥に位置し、股関節の動作で最も伸ばされたり、たわんだりする筋肉です。つまりそれだけ損傷しやすい。案の定、そこを押すと滅茶苦茶硬くなっていました。

 

 通常ここを傷めている患者さんはデュシャンヌ歩行という特徴的な歩き方をするのですが、この方は接骨院にクルマでいらしていたので、院内を歩いてもらってもそこまでの歩行にならなかったのです。これがこの筋の傷害を見落とした最大の理由でした。

 

小殿筋の治療を開始すると身体もすぐに反応して、患者さんからも初めて「良くなってきた」とコメントをいただきました。

ちなみに小殿筋傷害はレントゲンでもMRI検査でも診ることは困難です。現在は超音波画像検査でその部位を動かしながら筋肉の動きを確認する方法を取っています。

ご参考にしてください。


スポンサーサイト



  • COMMENT:0
  • TRACKBACK:0

0 Comments

Post a comment