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肉離れと筋挫傷

 皆さんはこの2つの病名の違いがわかるでしょうか。
 肉離れとは自分の筋力で筋肉を傷めてしまった場合の傷病名。
 筋挫傷は打撲など他からの力が加わったときに筋肉を傷めてしまった場合の傷病名です。このように定義されて僕たちは使い分けています。

 ごく軽いケースでは画像上いわゆる筋肉痛(正確には遅発性の筋肉痛)との有意差がありません。この場合は痛みが1週間以上続いているかどうかで判断することになります。
 単なる筋肉痛であれば1週間以内に痛みは消退します。これが1週間を越えても続いてしまうようであれば筋繊維を傷めたと考えたほうがよいです。我慢強い人は1ヶ月以上も痛みに耐えて運動していた人もいますが。

 程度の分類としては1度、2度、3度に分けられ、3度が筋線維の完全断裂で重症となります。
 筋挫傷というとわかりにくいですが、外力がどのように加わったのかと言えば打撲です。
 その打撲も程度によっては体の内部で筋肉が裂けてしまうような怪我を引き起こす原因になるということです。 たとえばこちらの画像。

筋挫傷


 最近の画像ですが、バスケットの練習中に相手の膝が太ももを直撃し骨ぎわの深い筋肉が裂けてしまっています。いわゆる完全断裂で、黒い部分には出血した血が溜まっています。
ここまで深いケガはめったに見られません。衝撃が強かったことをうかがわせる筋挫傷です。

 さらにこちらの画像。
筋断裂    

 これは超音波画像検査で撮影したふくらはぎの内部のものです。
 パノラマ画像という方法で筋の断裂全体を映し出しています。
 画面中央の黒い部分が断裂したところ。最初の画像と同様になかに血腫が溜まっています。
 この症例は8月にも紹介した剣道で打ち込もうと前に踏み出した際に起きた肉離れです。
 一例目が縦に7センチちょっとの断裂であったのに対し、この断裂は約20センチに渡り裂けていました。

 これらのケガをしてからだの内部に血が溜まってしまった場合、どうなるのでしょうか。
 実は貴重な症例があります。次の画像をご覧ください。

肉離れ

 この症例は傷めた時から2年ほど経った後に、当時通っていた別の治療院から紹介されて来院されたものです。
 ふくらはぎの膨隆と硬さが認められ、超音波を当ててみるとこのような画像所見が得られました。
 (赤い線で囲んでいる箇所が問題の場所です。)
肉離れ

 いろいろと調べた結果、イギリスのドクターが発表した画像と一致することがわかりました。
 この症例の方はバトミントンをやっていた際にふくらはぎを傷めたのだそうです。
 そのときも肉離れと診断されましたが、これほどの血腫が溜まっているとは気付かれなかったようで、救急で運ばれた病院で2,3ヵ月後にもう運動して大丈夫と言われても痛くて動けなく、うちへ来る前の数年を治療院めぐりしていたそうです。

 血は身体の内部に溜まると少量であれば白血球の作用で消化吸収されてしまいます。
打撲の後の赤黒かったあざが段々薄くなって黄色に変わり、やがてなくなるのを大抵の皆さんは経験していらっしゃると思います。
 ですがその量があまりに多いとすべてを消化できません。すると身体はその異物と化した血液を包んでしまう膜を作り出します。膜は皮膚の代用で、身体の内部に皮膚を作り、その塊を外に押し出したことにしてしまうのです。

 この患者さんの場合もそのような経過をたどったようです。黒い塊のなか、左上に白いスジが入っていて、その下に陰影が出来ています。これは「白いスジ」が超音波を跳ね返してその下に超音波ビームが入っていっていないことを示しています。つまりこの「白いスジ」は骨のように硬い組織だということの証明です。こういうものが筋肉内に形成されると動かしたときに強い痛みを感じてしまいます。このような筋肉の状態を骨化性筋炎と呼びます。

 こういう症例を何例か経験すると僕たち接骨院が患者さんの怪我をただの打撲、肉離れと楽観できなくなるのがわかっていただけるかと思います。
 肉離れや筋挫傷の初期であれば、先ほどの症例のような筋肉内に溜まった血液は液体ですから外からの圧迫などで押しつぶすことが出来ます。そうすれば体内で異物化することはありません。
 しっかり治すには早くに治療を開始し、しかるべき処置をすることが肝要です。

三勝はり灸接骨院HP : http://www.3show-hari9.com

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